渋川北群馬歯科医師会
カテゴリー:コラム

歯磨き剤について

2009年09月10日


 歯磨き剤は、歯ブラシと併用して、口の中の清掃効果を高める役目をもっている補助剤です。歯磨き剤を併用したブラッシングの方が併用しない場合よりも歯垢の再成長を抑制することが分かっています。


 歯磨き剤には、ペースト状のほか粉末と液状があり、薬事法の分類では、化粧品と医薬部外品に分かれ、そ使用目的が違います。化粧品の歯磨き剤は、口臭を防ぐ、口中を浄化する、歯石の沈着を防ぐ等の効能が認められており、基本成分である基剤、研磨剤、洗浄剤、香料、着色剤が使用されています。医薬部外品である薬用歯磨き剤は、基本成分に薬剤が配合され、歯周疾患の予防、歯石の除去、むし歯の発生と進行の予防に適応されます。配合される薬剤とその作用について次のようなものがあります。

  •  1. フッ素、ハイドロキシアパタイトは、耐酸性強化・再石灰化促進
  •  2. トラネキサム酸、リゾチームは、消炎、抗出血
  •  3. テキストラナーゼ、ピロリン酸は歯垢分解、歯石沈着予防
  •  4. 乳酸アルミニウムは知覚過敏緩和

 歯磨き剤は長期すなわち生涯使用するものですが、その安全性には特に問題はありません。薬用歯磨き剤は医薬部外品であり、その規定には「人体に対する作用が緩和なもの」とあり、配合される薬物の用量は少ないといえます。誤飲、口の中に残留するものを長期に飲み込んでも問題はなく、口腔粘膜、味蕾に対して直接影響が無いことが動物実験で報告されています。以前、歯磨き剤はあまり使用してはいけない。使用する時は少しだけ使ってくださいといわれていたようですが、それは歯磨き剤を使うことによって、すぐに清潔感が出て菌垢を除去しないうちにブラッシングをやめてしまったり、必要以上に圧力をかけた乱暴なブラッシングによって歯磨き剤の中に含まれる研磨剤で歯が削られたり、歯肉が下がったりして、歯がしみるようになる知覚過敏を起こすからです。以上のようなことから、歯磨き剤は自分の症状にあったものを選択し、歯科医師の指導のもと正しいブラッシング法を併用していくことが不可欠といえるでしょう。