渋川北群馬歯科医師会
カテゴリー:コラム

口から食べる大切さ(口腔ケアとリハビリテーション)

2009年09月10日

 我が国は、一九九四年に高齢社会に突入しましたが、それは障害をもって生活をしていかなくてはならない人の増加を意味するものです。


 疾患罹患後に四肢体幹だけでなく口腔咽喉頭領域にも障害が残ることがあり、歯科治療しただけでは噛めない、飲み込めないという摂食嚥下障害が生じ、口腔ケアと口腔リハビリテーションが必要となります。片麻痺の人は食べた物が口腔内に残っていても感覚的に分からず、そのまま停滞し、そこに口腔内細菌が繁殖し、誤って飲み込んだ場合は発熱の原因や肺炎の元になってしまいます。


 いろいろの薬の副作用で、唾液が出ずらくなりムシ歯や歯周病になりやすく、口腔ケアは非常に重要な意味をもってきます。残留食物を取り除き、絶えず口の中を清潔に保つことと歯ブラシで口腔周囲を、刺激することにより脳への覚醒を起こし、食べ物を食べる準備をすることです。

 要介護の人は、摂食嚥下機能の低下により物を喉に詰まらせてしまう人が多く、これを予防するためには、おもいっきり舌を突き出して咽頭部を動かしたり、口に水を含んで、左右上下に水を移動させてうがいをしたりする運動等を行います。空嚥下をして咽頭蓋付近のリハビリテーションも行います。もし、自分でできない場合は、家族や介護する人によるマッサージや歯ブラシで舌を刺激するようリハビリテーションブラッシングも一つの方法です。


 通院不可能の人で歯科疾患がある場合は、訪問歯科診療を受けて治療し口腔の汚れた人は、口腔ケアを行い、口腔機能の低下した人は口腔リハビリテーションをします。


 口から食べることで栄養を十分にとるとともに、噛むことにより脳へ刺激を与えることで、全身の状態の改善、心身の回復、そして何よりも生きる意欲の回復に大いに役立つものとなるでしょう。