渋川北群馬歯科医師会
カテゴリー:コラム

「口臭」とは

2009年09月10日

 口臭は単に個人的な悩みの問題としてだけでなく、コミュニケーションを妨げることや、要介護高齢者のケアにおいても大きな障害になることなど、私たちの人間関係や社会生活を大いに阻害するファクターとしても考えられつつあり、今あらためて注目を集めています。


 口臭とは、会話や呼吸で吐き出した息が、他人の鼻で不快に感じられた場合をいい、その源はほとんど口の中にあるといえます。臭い物質は、口の中で新陳代謝によって役目を果たした細胞(剥離上皮細胞)、死んだ細菌や白血球、あるいは食物残滓などのタンパク質が口腔内細菌によって分解されてできたメチルメルカプタン(CH3SH)など、揮発性硫化物と呼ばれるものです。


 起床直後や長時間の緊張、あるいは疲労時に唾液の分泌が抑制された結果、口の渇きを覚え、他人に不快と感じさせないレベルの口臭は誰にでもあることです。このような口の臭いを生理的口臭と言います。この生理的口臭で、自分には口臭があるのではないかと思い悩んでいる人もいるのかも知れません。日常の正しいブラッシングはもちろんのこと、舌ブラシなどを用いたた舌清掃で、生理的口臭は容易に改善されますのでぜひ試してください。


 一方、歯肉などに炎症がある場合には、やや不快と思われる口臭が存在し、これを口腔由来の病的口臭と呼びます。この代表的な疾患は歯周病ですので、歯科を受診し原因を取り除くことが大切です。


 また、全身疾患を原因とする明らかに悪臭と感じる口臭を、全身由来の口臭と呼びます。これには、蓄膿症、扁桃腺炎などの耳鼻科的なもの、肺壊疽、気管支拡張症などの呼吸器系の病気、糖尿病や肝臓病などの内科的病気があります。


 口臭が気になって歯科を受診し、口の中の病気が原因ではなかったときは、各診療科に紹介してもらうことをお勧めします。